「声と音楽で紡ぐ 大人の朗読会」 千里中央で上演
言葉の芸術に拍手 約170人が癒やしの時間

アサヒ・ファミリー・ニュース社設立50周年記念「声と音楽で紡ぐ 大人の朗読会~2024新春~」(アサヒ・ファミリー・ニュース社主催)が1月20日、豊中市のA&Hホールで上演された。京都で「朗読ユニット グラスマーケッツ」を主宰する朗読家・佐野真希子さんと俳優・高橋映美子さんの二人による「大人の朗読会」。約170人の観客が訪れ、賀集律子さんのピアノ演奏とともに、大阪の大正と昭和ロマンがただよう名作と現代朗読劇を楽しんだ。

与謝野晶子らの名作を朗読する佐野真希子さん

佐野さんは20年の朗読経験を持ち、朗読教室や大学の講師など多方面で活躍中。第一部は「詩で感じる与謝野晶子」と題し、「君死にたまふことなかれ」ほかを読み上げて始まった。続いて「短編で味わうオダサク」。関西を拠点に30年以上にわたり舞台を中心に活動し、2016年にはシアターコクーンプロデュース「シブヤから遠く離れて」にも出演した高橋さんが加わり、「夫婦善哉」「人情噺」を情感あふれる語り口で披露した。「馬地獄」には大阪や阪神間のなじみ深い地名も登場。当時の街のにぎわいと人々の息づかいが伝わってくるような朗読を、観客は熱心に聞き入った。

織田作之助の作品を披露する高橋映美子さん

第二部は「自分を見つめ、自分を感じる朗読時間」からスタート。佐野さんと高橋さんが「昨日はどんな日でしたか」などと問いかけて、観客が自身の内なる声に耳を傾ける趣向で、ピアノの静かな調べとともに、ゆったりと時が過ぎた。

「雨竹合戦」では現代朗読劇の魅力を発信

最後は第五回角川春樹小説賞を受賞した作家・池田久輝さんが書き下ろした現代朗読劇「雨竹合戦」を上演した。古代中国の架空の国を舞台にした物語。「雨」と「竹」の漢字をもとに展開していく独創性あふれるストーリーをグラスマーケッツの原澤孝之さんが手掛けた音楽に乗せてエンターテインメントとして楽しむ企画で、登場人物のいきいきとした台詞と迫力のある描写を二人が読み終えると、声と言葉、音楽が溶け合う芸術に会場は大きな拍手に包まれた。

観客の拍手に応える出演者の皆さん

佐野さんは「今日はこんなにたくさんの方にお越しいただいてうれしいです。京都で朗読専用劇場rLabo.(アールラボ)を開いているので、ぜひ遊びに来てください」と挨拶した。鑑賞した西宮市の女性は「プロの朗読はさすがだと感心しました。音楽との組み合わせもすばらしく、心が癒やされました」と感想を話し、ホールを後にしていた。




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